名将の決断
歴史を左右する戦局、名将と呼ばれた歴史上の人物についての考証
兵法・戦略・戦術・戦史

(以下、激しく工事中)

●古来よりの兵法書  孫子の兵法

「戦争」それ自身、異常な行為である。勝つことは必然でなければならず、まして負けることは許されない。敗北は自分自身の消滅を意味し、築きあげたものをすべて失ってしまうのである。そんなリスクを背負ってまで行うものであるなら相応の勝つための対策を十分施して戦争に臨むべきであり、勝利するためのビジョンが見えないのであれば、もともと戦争など行うべきではない。

彼我の戦力を把握・比較検討することによって、勝算が立つか立たないかを判断すること、つまり相手を知り己を知ることをまず第一とし、孫子は、運や偶然といったもの以外の「現実」が戦争の本質大部分を占めており、その現実を無視して根性や努力といった精神主義にはしったりすることがいかに恥ずかしい行為であるかを見事に指摘しているのである。孫子の解説本によくあるように、孫子の兵法を会社経営や人間関係にあてはめてみると非常におもしろい。押すだけではなく、引いてみるということ教えてくれる。
旧日本軍の戦争指導がまさによい例で、情報収集に関しても常に相手を軽視する傾向があり、勝負を運と強引な正面突撃によって勝ち取ろうというこの思想の原因は、軍教育の稚拙さに起因するものであった。過去の歴史に学ぶ姿勢が無く、テクノロジーの固まりである新兵器を軽視して根性や願望といった無形のものを信奉し、勝算が全くたたないまま開戦(太平洋戦争)し、ブリキの戦車で戦うはめになった旧日本軍では、その戦争指導失敗のツケを末端の兵士が払うはめになり、結果貴重な人的資源を浪費していった。戦車兵となって戦死したオリンピック金メダリストなど、まさに悲惨としか言いようがない。
残念なことに、この旧日本軍的な恥ずかしい体質は、現在に至ってもあまり変化していないように見える。R◎Fプラント作る計画作っちゃったから使うための計画練らなきゃ〜とか、おおよそ政府指導型のものにはいきあたりばったりの計画が多い。受注の際のプレゼンテーション力やその場しのぎ能力に長けた者がさかんに言い逃れをしている様が目に見えるようです。

孫子に関するお勧めページ
「孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法」
孫子の兵法の使い方について盲を開いてくれます。ひとえに兵法書としての価値ではなく、人間が考える上での『知力』をあたえてくれる本として紹介されています。

ただ、孫子の兵法を用いた戦術自体は、相手が自分と同等の思考パターンを持つ場合に威力を発揮しますが、前提条件が多いため近代戦に適用は難しいでしょう…。

●近代戦の兵法の完成者  バジル・リデル・ハート卿 (??〜1970)

英国。軍事問題の世界的最高権威。地位は英国陸軍軍事顧問。第一次大戦に参戦後1927年大尉で退役。その著書「戦略論(戦車論)」によって、第一次大戦時の陣地戦から脱却し機甲部隊の有効性を唱え、多くの成功者の指南役となった。ドイツ機甲部隊の創始者グデーリアン将軍や、チャーチル首相に「砂漠の狐」と評されたロンメンル将軍、ドイツ電撃作戦時の1940年のフランス軍大佐であった(のちのフランス大統領)ド・ゴール、アメリカのアイゼンハワー(太平洋任務部隊総司令官のち大統領)などが有名どころ。過去、(昭和40年代)原書房より「戦略論」が上・下巻で発売されたが、現在新書では売られていない。現在再販予定は2000年以降とのこと。札幌市内の古本屋では流通が無く、図書館でのみ閲覧可。リデル・ハートの著書は30数冊にのぼると言われているが、彼の著書の一環したスタイルは、「真に平和を求めるのであれば、戦争を理解(現実を見て、事実に学べ)せよ」であり、熱い。
リデルハートの講義についてはこちらを参照されたい。

●近代戦の兵法の完成者II  エルウィン・ロンメル(??〜1944)

リデルハート及びロンメルに関するお勧めページ
戦史研究ページ
戦史全般の研究とその根拠を発表。数値や新説によって淡々と書かれる事実は圧巻。


●武装中立国スイス

スイスでは第二次大戦を通し、侵略をうけず中立を保ったが、それは武装中立によって達成された。ドイツ・フランス戦が佳境になっていた1940年5月、スイス空軍は領空侵犯したドイツのJu88爆撃機を迎撃した。信号弾によって警告を発したスイス空軍のMe109(輸出機)とJu88の戦闘は不発に終わったが、一週間後には領空侵犯をしたHe111爆撃機を撃墜するに至っている。その後、スイスを参戦へと挑発するため(フランス戦では、スイスの地理的位置が重要であったため)Me110戦闘爆撃機に護衛されたHe111の編隊がスイス上空へ姿をあらわし戦闘は本格化し、スイス空軍はこの迎撃にあたった。スイス側はMe109一機損失、ドイツ側はMe110二機、He111一機損失という結果であった。また、同日32機編隊のMe110が国境を越えスイスの渓谷へ進入、スイス空軍は全力をあげてこの迎撃にあたった。通常2機がスクランブルをかけるがこのときは12機が更に参加し、ベテランの乗るドイツMe110戦闘機を5機撃墜し、圧勝した。この時点で、もしスイスが非武装などであればあっさりと蹂躪されていたであろう。スイスにとって幸いだったのは、このときフランス戦が終結したため、地理的に無理にスイスを挑発する必要がドイツにはなくなったのであった。


スイス空軍の輸出版Me109の話は、おもしろい資料があります。。(- - )
興味深いのはMe110との戦闘で、バトルオブブリテン以前にもう既に双発戦闘機が単発戦闘機にかなわないという事実がここで証明されていたということでしょうか。。ちなみに、スイスのMe109は、E型で、その後不時着したF型、G型をムリヤリゲットしてつかっていたらしいです。また、連合軍機も被弾して基地へ帰れない場合、ドイツ領内に不時着するよりもスイスに不時着することを選んだため、そういった機体をゲットするためにスイスのMe109は、誘導役に活躍しまくったハズです。

武装中立国スイスに関するお勧めページ
詳しく紹介しているページを現在検索中・・・

日本は平和です。その平和は何によってもたらされているか。それはまごうことなき事実として、自衛隊に高い戦闘能力があるからです。平和憲法があろうがなかろうが、侵略する側にたてばそれはささいなものです。平和を愛する人の解釈では日本は戦力などは放棄して、非武装中立を宣言すべきというのがありますが、非武装などしたら南下政策をとる国に一撃で占領されてしまうこと間違いないです。国際社会の常識として国連があり、そういった侵略をしてしまうような国家に対し、制裁を加えることはできます。が、さんざん略奪してもらっておみやげ付きで帰ってもらうなどとは滑稽すぎると思いませんか。ツケを支払うのはいつも末端の民間人なのですから。


●生粋の軍人  ハインツ・グデーリアン (??〜1954)

自動車補給部隊時代に結成したハリボテ装甲車部隊を白眼視される中鍛え続け、開戦後自らの戦術理論を証明するだけでなく戦果も武勲もほしいままにした将軍。後世では機甲師団の父ともいわれるようになった。その業績は、彼の研究者としての着眼点と観察力、そして司令官としての迅速な決断によってささえられたといえよう。フランス戦の天王山セダン突破〜ダンケルクへの突進についても、彼が直接に指揮する第19軍団(A軍集団)は軍団の機動力で相手を圧倒的して常に意表をつく進撃を行い、フランス軍は各所で分断され敗走していった。(このときの話で、フランス軍の敗走スピードよりもグデーリアン部隊の進撃速度が速かったという逸話があるようです)


ハインツ・グデーリアンに関するお勧めページ
電撃戦 グデーリアン回想録 ERINNERUNGEN EINES SOLDATEN
復刻版「電撃戦」を解説しています。戦史に関わる書籍のダイジェストがあり参考になります。


●「戦争論」で本当に”戦争は政治の延長”と述べた・・・  フォン・クラウゼヴィッツ(??〜??)

ナポレオンを破った将軍。ゆえにその理論と著書は戦争の経典のごとくあがめられた。しかし、その、「戦争は政治とは異なる手段である政治の継続にほかならない」と述べた有名な一節は当時(第一次世界大戦)侵略・帝国主義を正当化しようとする世界情勢を結果的にあとおしする形になった。戦力を集中して少数にあたれば必ず勝てるといったクラウゼヴィッツの数の理論は、新兵器や新戦術の前にあまりにも無力であり、彼の唱えた「戦争は極限まで行うべきものである」との一節も軍国主義を増長するものであり、その理論を実践し文字どおり国土が荒廃しつくすまで戦争を行った国は、民間人にまで多くの犠牲者を出した。彼の理論はまさに対ナポレオンにのみに適用できる一過性の古典だと思うのですが…。


フォン・クラウゼヴィッツに関するお勧めページ
いちごの総統官邸
解釈の難しい戦争論を第一編より解説しています。忙しくて更新が止まっているそうですが、期待大。

●GPM
GPM攻略


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